ARMはソフトバンクGによる買収後に利益減少が続く。いったいどこへ向かってる?

孫さん率いるソフトバンクグループは2016年にARMを320億ドル(約3.3兆円)という巨額な金額で買収しました。

買収した時の孫さんは将来的にすべてのものがインターネットにつながる未来を描いてIOTにおいて有望なARMに投資したハズです。

実際、ARMは制御用CPUやスマホでのCPUにおいて大きな実績があり売上も伸びており、買収されなければ右肩上がりの利益だったハズです。

ところが買収後にARMの利益は右肩下がりになってしまいました。以下のARMの投資家向け資料のグラフのオレンジが利益(EBITDA)ですが、人員の増加などコストに見合う利益がでなくなり利益は2015年をピークに右肩下がりになってしまいました。

ソフトバンクグループはARMの企業価値を高めて2023年にARMを再上場させようとしてますが、本当にうまくいくのでしょうか?

どうしてコストが増大しているのでしょうか?

みなさんはIOTなどに使われるCPUとサーバーなどに使われるCPUとはまったく設計思想が異なることをご存知でしょうか?

つまり、IOTなど制御用のCPUは「値段と消費電力」が重要です。少しでも安くするためにチップ面積を可能な限り小さくし、少しでも低消費電力になるように設計されます。制御用CPUは小規模なのでデザインチームも比較的少人数で設計できます。

これに対してサーバーなどのCPUは値段や消費電力よりも「高速性」が求められます。サーバーなどの高速CPUはインテルやAMDなどをみるとわかりますが、大きなデザインチームで論理設計、回路設計、レイアウトを含めガチガチに設計して、ある意味それぞれの専門分野での究極の設計が求められます。

強いて言えば、IOTなど制御用のCPUが大衆車のカローラだとすると、サーバー用のCPUはF1に出場するレーシングカーのようなもので、同じ自動車に分類されても求められるものがまったくことなります。

スマホのCPUは低消費電力と高速性の両方の特徴を持たなければなりませんが、ここでは説明を省きます。

ここで何を言いたかったかというと、せっかくARMという会社は制御用(IOT含む)+スマホ用のCPUのデザインのライセンス販売という低コストで会社を経営できていたのに、お金がかかるF1つまり、高速CPUにも乗り出し、人員も増加させて高コスト体質の会社になりつつあるようにみえます。

これは2018年発表されたCortex-A76や2020年に製造がはじまるCortex-A77をみるとわかります。これまではARMが開発するCortex-A系とは別にスマホなどに使われる高性能なCPUはQualcomm、AppleやサムスンなどがARMの提供する命令セットに基づいて独自にCPUを設計してましたが、Cortex-A76以降はARMが自らサーバーにも使えるCPUを設計してしまいました。

どうしてこうなってしまったのでしょう?

以下は想像ですが、ARMと言えど制御用CPUは競争が激しく、さらに薄利多売の世界です。ソフトバンクグループが、買収時に株式市場の40%も高い値段で買収してしまいました。しかしながら、IOTだけでは投資額に見合う収益を得ることができずに、買収時にシェア1%以下だったサーバー向けCPUにも手を広げてきたのかもしれません。

サーバー向けCPUというと、インテルなどと競合してしまいます。本当にこれらの分野にも力を入れていくとなると、どんどん投資額が増えざるを得なくなります。ARMはせっかく「選択と集中」でやってきたのに本当にうまくいくのでしょうか?ARMが長い年月をかけて積み上げてきたものが、崩れるようにしか思えません。

さらにARMには不安要素があります。これは私の想像というか妄想でしかないかもしれませんが書いておきます。

ARMがほぼスマホ市場を独占してるのはGoogleとAppleがAndroidやiPhoneでARMを採用しているからにほかなりません。ARMはCPUデザインのライセンスなので複数の会社が製造することができ、SOCで周辺回路を含め1チップにインテグレーションできるので、スマホで必要な低コスト、低消費電力、省スペースにとても都合がよかったです。

先に書いたようにARMは方針を変えて自分のところでハイパフォーマンスなCPUを作ろうとしてます。

しかしながら、Googleという会社をみるとオープンな環境を好む会社です。Googleはおしげもなく最先端の技術を公開する会社です。

もし、Googleが自由度がなくなったARMに見切りをつけて独自の命令セットを定義して、半導体メーカーに対して「どうぞ、公開した命令セットで自由にCPUを開発してください。新しいAndroidでサポートします」と言い出したらいったいどうなるでしょう?

スマホの世界が大きく変わります。日本のルネサスエレクトロニクスなどにももちろんチャンスが訪れるでしょうし、スマホメーカーや半導体メーカーの競争がとても面白い未来となります。スマホになってパソコンほど実行ファイルのバイナリ互換性はうすれています。今なら公開された命令セットで自由に設計できるように変更するメリットは大きいハズです。OSに都合がいいように命令セットを定義することもでき、GoogleのAIチップを載せたようなAIに特化したような夢のようなスマホも開発できるようになるかもしれません。

もちろん、もしこんな未来になったらARMにとっては悪夢です。サーバーは開発コストが大きく大変、スマホもダメ。最初に目標にしていたIOTしかなくなります。でも高コスト体質にかわったARMは厳しい闘いになってしまうかもしれません。

ここまで行ってしまったら、ソフトバンクグループはARMを手放すしかなくなるまで追い込まれることも考えられます。

数年後のスマホCPUはどうなっているでしょうか?

楽しみです。


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